相続登記の義務化のこと

皆さんご存じかと思いますが、相続登記が一昨年4月に義務化されました。具体的にいうと、『相続により不動産を取得した相続人は、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない』というものです。正当な理由がないのに義務に違反した場合10万円以下の過料(行政による罰金)の適用対象となります。罰金も痛いですが、問題はいざ売却して換金しようとしても、相続人が多すぎてお互いに存在は知っていても話をしたことがないケースなどが出てくることです。司法書士に依頼して≪相続関係説明図≫を作成してもらいますが、兄弟ならまだしも、いとこ同士やいとこ半との間で話を取りまとめなければならないなどというケースもあります。そこまで行くと対象不動産の資産価値にもよりますが、複数の弁護士のお世話になることも多くなってきます。
長いこと不動産の世界にいると、色んな案件に出会います。30年くらい前に相続人が21名という案件を取得したことがあります。2世代どころか3世代にわたるケースも出てきたりします。その時はお妾さんが住んでいる不動産で、亡くなった男性の遺言により相続を受ける予定でした。手続きを怠っている間に正妻も亡くなりその子、その配偶者や孫までの20名が相続人となっているところ、相続放棄書面を全員から取得し、数年かかって相続登記し売物件にできたというものでした。20人のうち数名がアメリカに住んでいて、実際に実務を行った司法書士さんと仲介業者さんは大変だったようです。
今携わっている案件も、登記簿上の所有者(故人)の戸籍が2県にまたがっているので戸籍を追いかけていくと、それぞれの県で婚姻した妻がおり(重婚)、本人の死亡届が昭和20年、57年の2回出されていました(←昭和20年以降も故人の子の出生届が複数人出されていることから昭和20年死亡が何かの手違いのようです)。相続関係図を作成して相続人11名と判明はしたものの、戸籍の修正をしなければ相続登記ができないとのことで、弁護士に依頼して家庭裁判所に申し立てをしようとしているところです。
何につけ、少し気になるけどそのまま手を付けずに放っておいたら、後から大きな問題になったことってあると思います。身内が残してくれたプラスの遺産であれば、特に換金性の高い不動産は速やかに相続手続きをするに越したことはないですよ、という話でした。

代表取締役 樋口繁樹





