2017年11月のメッセージ

『 秋を感じる 』

 

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  秋深まる季節、我が家のマンションの1階玄関前のキンモクセイの香りが朝の出がけにふと心を和ませてくれます。春の沈丁花とともに、僕の大好きな季節感を感じさせてくれる香りです。

運動会、文化祭、食のイベントなど、秋は季節を感じさせる催事には事欠きませんが、ふと一瞬目の前をよぎっていくような、自然界の香りや風景の方が僕としては季節を実感できます。

 先日は朝のウォーキングコースの池の脇に赤や白の彼岸花が一気に咲き誇り、お彼岸前のまだ夏が続いているような30℃近い暑さだったのに、どこに体内カレンダーがついているのでしょうか?と不思議な気持ちがしたものです。でも、おかげで忙しさにかまけてお彼岸に実家に帰れない不義理を思い出し、心の中で先祖にお参りできました。

 風景もそうですが、香りは特に過去の思い出や出来事が一瞬に甦ってきますよね。それも好い香りは、懐かしい、また良い思い出とともに。キンモクセイは一人暮らしにも慣れて気持ちも乗ってきた大学1年の学園祭のころの思い出が最初に浮かんできます。なぜか松田聖子の「風立ちぬ」というヒット曲とともに。(今や懐メロですが…)

 山の野焼きの草やわらの焼けた匂いは、小学生のころの晩秋の故郷の遊んで遅くなった肌寒い薄暮の帰り道を思い出したりします。この場合は、黄昏泣きという言葉があるようにちょっぴり切ない気持ちもよみがえってきたりします。

 プラスの志向で前に前にと事を進め、また時間を進めたがる僕たち現役真っ盛り世代にとっても、香り、風景、音楽などをきっかけとして昔を振り返り懐かしむ、立ち止まって見る、ちょっとした心のゆとりも必要かもしれませんね。

五木寛之の「孤独のすすめ」というエッセイに円熟期を迎えた人生の楽しみ方でそんなことが書いてありました。

過去や思い出を振り返ることは決してマイナスの作業ではない。しみじみと過去を思い出し自分の人生をなぞっていく、孤独を恐れずにむしろ楽しめる幸せな時間…、だそうです。

現役世代にも当てはまりそうですね。

とはいえ、日々の 時間のやりくりの中では、円熟期の境地で楽しむところまではなかなか至りませんが、ま~、秋の夜長にそんな 時間を過ごすのも一興かと思う次第です。

代表取締役 樋口繁樹

 

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